第十五幕 現実の世界に

——バターン!

すごい音を立てて敦史は床に転がった。

「あれ? ここは……剛の部屋?」

誰もいない見慣れた剛の部屋へ足音が近づき、綾子が顔を覗かせた。

「今の音、何? ……あら、敦史君。剛たちと一緒に行かなかったの?」

「え? 剛たちはどこに行くって言っていましたか?」

「それは聞いてないけど、飛鳥ちゃんとすごい勢いで出て行ったけど」

綾子は不思議そうに敦史を見つめた。

「あ、そうそう敦史君。砂亜羅しらないかしら? ずっと姿が見えないのよ」

綾子の言葉に、敦史の心臓が跳ねる。

「え、えっと……つ、剛たちと一緒のはずですよ」

と、ごまかした。

「あら、そうだったかしら。剛と飛鳥ちゃんの二人だったような気がするんだけど……変ね」

綾子が首を傾げる。

「気のせいですよ……きっと」

敦史は何とか気を逸らすことに成功した。

「ただいまー」

剛と飛鳥が帰ってきた。

その声に綾子は玄関に行くと「あら? 砂亜羅は?」

と、剛に聞いた。

「へ?」

剛は、なぜ綾子がそんなことを言うのかわからず聞き返す。

砂亜羅にちょっと頼みたいことがあるのよ。敦史君に聞いたらあなたたちと一緒だって言うから……」

「敦史……敦史がいるの?」

「え? だって、あなたたち今日、一緒に帰ってきたじゃない」

綾子の言葉に靴を乱暴に脱ぎ捨てる。

「あ、ちょっと、砂亜羅は?」

「本屋寄ってから帰ってくるって言ってた!」

剛と飛鳥は部屋に急いだ。

「敦史!」

部屋に飛び込むと敦史の姿があった。「剛!」

立ち上がった敦史が剛の肩を掴む。

「剛、何で俺生きてるんだ? それに飛鳥ちゃんも、それに剛、お前だって——」

質問攻めの敦史に、剛は今までのことを話した。

「ってことは、今まではゲームの中のことで、全部こっちから見えるのか?」

理解に苦しみながら、敦史はハッと思い出した。

「それじゃあ、あの……砂亜羅と森にいたことも全部……見て?」

「見てるこっちが恥ずかしいっつーの」

飛鳥がニヤニヤしながら言った。

「ま、不可抗力ってやつだと思って諦めてくれ」

剛も敦史を見ながらニヤニヤする。

「さて……と、あとは砂亜羅だけだな」

剛の言葉に、みんなでテレビ画面を見る。

「このゲームを俺に売った奴は、どこに行ったかわかんねーし……」

「もう少しこのまま見てみたら?」

剛の言葉に、飛鳥が返した。

「もしかしたら、砂亜羅ちゃんももう出てくるかもしれないよ? 四人用のゲームだし、最後の一人になったら終わりじゃないのかな?」

「それもそうだな……少し様子を見てみよう」

飛鳥の提案に、三人で続きを見始めた。