第十六幕 一人暮らし

砂亜羅は一人きりになってしまった。絶望的な孤独、その中で砂亜羅は泣いた。

もう取り返せない大切な人たち、繰り返してしまった過ち。

——死にたい——

そう思わずにはいられなかった。しかし、そんな勇気もなく、砂亜羅はただ膝を抱えた。

「敦史……」

いくら呼んでも、もういない。もう、この世には——。

何もしないまま、丸二日経とうとしていた。

砂亜羅は、ただ川でぼーっとして、夜になるとあの光景が目の前によみがえる。苦しくて、息ができない。

——ゴゴゴゴッ……!

突然、ものすごい地鳴りのような音と、地面の揺れに、砂亜羅はテントの外に出た。

その瞬間、テントが土砂に持っていかれ、あっという間に視界から消えた。

砂亜羅は山を下りることにした。

何もない山にいたら、これから凍え死ぬか熊か何かに遭遇し、あっというまに餌だ。

砂亜羅は前に……といっても本当に一ヶ月も経ってないけれど、敦史と一緒に過ごしていたあの海辺の家に戻った。夜に、こっそりと家の戸を開ける。荷物がほとんどない状態で、引き出しがところどころ開いている。

敦史がどれほど急いで荷造りをしたのかと思うと、あんなに泣いたのに、まだ視界が歪む。

砂亜羅は昼間、家でじっと息を潜める。外を通る人の声が聞こえる。だんだん耳が慣れてくると、町の人たちの話は一つの噂話についてばかりだった。

「この家に二週間前ぐらいに移り住んできた男の子と女の子がいたでしょう? 最近見なくなったけど、その子たちが来てから、この町にも吸血鬼が現れ始めたらしいよ」

「じゃあ、その二人が吸血鬼?」

「そうじゃないかって話。もしそうなら、本当、早くどうにかしてほしいものだわ」

みんなの話が頭から離れない。耳を塞いで目をつぶると、剛や飛鳥、敦史のことがよみがえる。

砂亜羅はもう、限界だった。